No. | 用語 | 解説 |
1 | ヒューズ | 電気回路を保護する目的で回路に挿入され、一定値以上の電流が、ある定められた時間以上流れたとき、ジュール熱によりそれ自身が溶断し回路を切るもの。原則的には、ヒューズはヒューズリンクとヒューズホルダからなる。 |
2 | ヒューズリンク | ヒューズが動作したとき再び通電可能にするために、ヒューズホルダから取りはずし、 新品と取り替えられるヒューズの部分。 |
3 | ヒューズホルダ | ヒューズからヒューズリンクを除いたもので、ヒューズソケットとも呼ばれる。 |
4 | ヒューズエレメント | ヒューズリンクに組込まれた金属片または線で、ヒューズリンクに流れた電流に応答して溶融する部分。 |
5 | ヒューズキャリア | ヒューズリンクを保持するヒューズホルダの可動部分。 |
6 | ヒューズベース | ヒューズホルダの固定部分で、ヒューズリンクまたはヒューズキャリアを取り付ける接触部および端子を有する。 |
7 | 消弧剤 | ヒューズ動作時に発生するアークを消弧するためにヒューズエレメントの周囲に配置されている物質。 |
8 | つめ付ヒューズ | ヒューズエレメントの両端に金属性のつめがあり、つめをねじでヒューズホルダに締め付けて使用するタイプの非包装ヒューズ。 |
9 | 筒形ヒューズ | ガラス、磁器、 ファイバ等の絶縁物内部にヒューズエレメントを納めてあるヒューズリンクで、 ヒューズホルダとの接触部は、円(管)筒、刃形、ねじ締付形などのヒューズ。 |
10 | ねじ込みヒューズ | ヒューズホルダにねじ込むためのねじを持ち内部にヒューズエレメントを納めてあるヒューズで、プラグヒューズとも呼ばれる。 |
11 | 栓形ヒューズ | ヒューズキャリアを、ヒューズベースにねじ込み、筒形ヒューズリンクを端面で接触させて使用する構造のヒューズ。 |
12 | プラグインヒューズ | 内部にヒューズエレメントを納めたヒューズリンクにピンまたは板状の端子が出ており、ヒューズホルダとの脱着を簡単にしてあるヒューズ。 |
13 | 表示形ヒューズ | ヒューズの動作が容易に確認できるよう動作表示をする構造のヒューズ。 |
14 | 警報用ヒューズ | ヒューズが動作した時、動作の表示をし、内部に持っている接点により警報回路を構成するヒューズ。 |
15 | 限流ヒューズリンク | 溶断時にアーク電圧を高めることにより短絡電流を流抑制し、遮断を行なう方式のヒューズリンク。 |
16 | 非限流ヒューズリンク | 限流ヒューズリンク以外のヒューズリンク。 |
17 | 放出ヒューズリンク | 溶断時のアークによって発生するガスを筒外に噴出して消弧を行なう方式のヒューズリンク。 |
18 | 引込みヒューズリンク | 溶断と同時に一方の電極をバネの力などを使って消弧剤または消弧液中に引込むタイプのヒューズリンク。 |
19 | 包装ヒューズリンク | ヒューズエレメントの外囲が絶縁物で保護されたヒューズリンク。 |
20 | 非包装ヒューズリンク | ヒューズエレメントが露出したヒューズリンク。 |
21 | 密閉ヒューズリンク | 包装ヒューズリンクの一種で、動作時の金属ガス、 消弧剤の分解ガスが外に出ないようにしたヒューズリンク。 |
22 | ドロップアウトヒューズ | 異常電流の遮断に引き続き、自動的に断路位置まで開路する開閉機構を持ったヒューズ。 |
23 | 再用ヒューズリンク | ヒューズ動作後に、ヒューズエレメントまたは取替えユニットを替えることにより、再使用できる構造のヒューズリンク。 |
24 | 非再用ヒューズリンク | ヒューズ動作後は、 再使用不可能なヒューズリンク。 |
25 | 取替えユニット | 再用ヒューズリンクの一部を成し、ヒューズが動作するたびにヒューズリンクを復元するために取替えられる1個または一組の部品。 |
26 | タイムラグヒューズリンク | 規定された過電流領域に対して、溶断時間を特に増長させたヒューズリンク。 |
27 | 普通溶断ヒューズリンク | 規定された過電流領域に対して、 溶断時間を特に増減させないヒューズリンク。 |
28 | 速断ヒューズリンク | 規定された過電流領域に対して、溶断時間を特に減少させたヒューズリンク。 |
29 | A種ヒューズリンク | 溶断比が1.1(110%)と1.35(135%) の間にあるヒューズリンク。 アメリカでは殆んどがA種ヒューズリンクである。 |
30 | B種ヒューズリンク | 溶断比が1.3(130%) と1.6(160%)の間にあるヒューズリンク。 ヨーロッパでは殆んどがB種ヒューズリンクである。 |
31 | 交流高圧ヒューズ | 定格電圧が交流600Vをこえるヒューズ。 |
32 | 交流低圧ヒューズ | 定格電圧が交流600V以下のヒューズ。 |
33 | 直流高圧ヒューズ | 定格電圧が直流750 Vをこえるヒューズ。 |
34 | 直流低圧ヒューズ | 定格電圧が直流750V以下のヒューズ。 |
35 | バックアップヒューズ | 規定の条件の下で、定格遮断電流と定格最小遮断電流との間のすべての電流を遮断できるヒューズ。 |
36 | 広域ヒューズ | 規定の条件の下で、 最小溶断電流から定格遮断容量までのすべての電流を遮断できるヒューズ。 |
37 | 定格電圧 | 点火、 破壊等の危険がなくその定格遮断電流を遮断できる最大電圧(交流の場合は実効値) で、設計および使用の基準となる電圧。 |
38 | 定格電流 | 設計および使用の基準となる電流。 |
39 | 定格遮断電流 (定格遮断容量) |
規定された条件の下で、ヒューズが遮断することのできる最大電流(交流の場合は実効値)。 |
40 | 最小遮断電流 | 規定された条件の下で、ヒューズが遮断しうる最小の電流。 |
41 | 遮断 | 過電流の発生に対応してヒューズエレメントが溶断し、それに引き続いて発生したアークが消滅されるまでのヒューズの動作。 |
42 | 溶断 | ヒューズに過電流が流れた時、ヒューズエレメントが溶融して切断する現象。 |
43 | 最小溶断電流 | ヒューズ各部の温度上昇値が飽和した状態で、ヒューズエレメントを溶断させることのできる最小の電流。 |
44 | 公称溶断電流 (溶断電流) | 規定された条件のもとで、規定時間ヒューズに通電したとき溶断する電流の公称値。 |
45 | 溶断比 | ヒューズの定格電流に対する最小溶断電流の比。 |
46 | 通電容量 | ヒューズに電流を流し始めてから、ヒューズ各部の温度上昇が一定となるまで溶断しない電流値。 |
47 | 溶断時間 | ヒューズに過電流が流れ始めた瞬時から、ヒューズエレメントが溶断してアークが発生するまでの時間。 |
48 | アーク時間 | 過電流が流れ、ヒューズエレメントが溶断してアークが発生した瞬時から、電流が遮断されるまでの時間。 |
49 | 遮断時間 | 溶断時間とアーク時間の和。 |
50 | 規約電流 | ヒューズを設置した場合と同一回路条件の下で、無視しうる程度の低インピーダンスの導体でヒューズをおきかえた時に、回路に流れる電流である。 |
51 | 規約短絡電流 | ヒューズをインピーダンスが無視できる接続片に置きかえ、回路を短絡した時流れる電流をいい交流の場合には交流分の実効値であらわす。 |
52 | 遮断電流波高値 (通過電流波高値) |
遮断時間中にヒューズに流れた最大瞬時電流。 遮断電流ともいう。 |
53 | 過負荷遮断 | 定格電圧の下で規定された過電流を通電した場合に、規定された時間内でヒューズエレメントが溶断し、回路を遮断する状態。 |
54 | 短絡遮断 | 定格電圧の下で規定された過電流を通電した時、瞬間的に溶断し、回路を遮断する状態。 |
55 | 短絡試験 | ヒューズの遮断容量を定めるために行なう試験。 |
56 | 短絡力率 | 短絡電流の交流分基本波とその遮断に伴う回復電圧の交流分基本波との間の相差角の余弦である。 |
57 | 過電流 | 過負荷電流および短絡電流。 |
58 | 過負荷電流 | 機器に対してはその定格電流、電線に対してはその許容電流をある程度超過し、その継続時間をあわせ考えた時、機器または電線の障害防止上、自動遮断を必要とする電流。電動機などの起動電流は含まない。 |
59 | 短絡電流 | 回路の負荷が短絡した時流れる大きな電流。 |
60 | 定常電流 | 負荷が安定な動作状態にある時流れる電流。 |
61 | 給与電圧 | 遮断試験に際してヒューズの端子に給与される電圧 (交流の場合は実効値)。 |
62 | 再起電圧 | ヒューズの遮断直後にその両端子間に現われる過渡的な電圧。 |
63 | 回復電圧 | ヒューズが遮断終了後、ヒューズの端子間に現われる商用周波数の変流電圧 (実効値) または直流電圧 (定常値)。 |
64 | アーク電圧 | アーク時間中にヒューズ端子間に現われる電圧。 |
65 | 溶断特性 | 溶断時間と溶断電流の関係。 |
66 | 遮断特性 | 遮断時間と規約電流との関係。 |
67 | I2t | 特定の時間中にヒューズに流れる電流瞬時値の2乗の積分値。 |
68 | I2t 特性 | I2t 値と規約電流の関係。 |
69 | 溶断 I2t | 溶断時間中のI2t。 |
70 | 遮断 I2t | 遮断時間中のI2t |
71 | 限流作用 | ヒューズに大電流が動作したとき、電流がその波高値(直流の場合は最 大値)に達しないように、 アーク電圧によって電流を抑制し減少させる作用。 |
72 | 限流範囲 | ヒューズに限流作用が生じる規約電流の範囲。 |
73 | 限流定格 | 限流ヒューズが、電流を制限する程度を示すもので、これは遮断電流波高値および最大遮断によって示されるが、場合によっては初期比も加えて示される。 |
74 | 初期比 | 限流作用が表われ始める電流値を限流ヒューズの定格電流値で割った値。 |
75 | 動作協調 | 系統内のある点に過負荷または短絡が発生した時、その点とその電流値に対応して動作するように設定された特定の器具のみが動作し、他の器具は動作しないとき、これらの器具の間には動作協調がとれているという。 |
76 | 保護協調 | 保護器具またはそれらの組み合わされた保護装置の動作特性曲線が、保護される線路または機器の損傷曲線の下方にあって、これと交わることなく、かつ保護器具が負荷の始動電流または短時間過負荷に対しては、動作しないとき保護装置と被保護装置との間には保護協調が保たれているという。 |
77 | バックアップ保護 | 系統内のある点に設置した保護器具が、その点の遮断容量を保有していない場合、その保護器具より電源側に別の保護器具を設置し、機器または電線を保護すること。カスケード保護ともいう。 |